葉月ゆかです。
昨日はライブだったのでそのことを書くのが普通かもしれないのですが
ライブレポはあんまり得意じゃないし、見聴きして頂いて感じてくださったことがすべてだと思うので特に書かないスタイルです。
全然違う話をします。
本の話です。文庫版「夫のちんぽが入らない」こだま
いやもう大事。ダイジじゃなくてオオゴト。
どういうことよ!!という気持ちが止めらなかったので読みました。
とりあえず一言書くとすれば、
この人は大切で肝心なところばかりがうまくいかないという星の下に生まれてしまった人の話でした。
ここからしばらくわたしの話をします。
ただの自分語りなんで飛ばしても大丈夫。
書きたいから書く。
わたしもどちらかというと、そういう星の下に生まれたタイプだと思う。
特に望んだわけではないのに、肝心なところで体が動かなくなる。
子宮内膜症がわかったとき、メニエール病がわかったとき、顔や体に謎の発疹が出て治らなかったとき、腰椎分離症がわかったとき、わたしは頑張りたいと思うことがありやる気に満ちておりワクワクしていた。
その裏側で疲れることもストレスも数え切れないくらい体感していたけれど、そんなの普通。みんなそう。それを選んだのは自分であり、そんなことよりも取り組みたいことがあると思ってきた。
わたしは体が動かなくなったら、
今は休めということか…と結構あっさり受け止める方。
だから最初のうちは逆に休む口実ができて都合がいいくらいに感じて気持ちスッキリしていたりする。
でも、それが何週間何ヶ月何年と続くとさすがに焦るし不安になる。
今もそう。
体のことは自分では選べないから、本当に突然に自分を振り回して悩ませてくる。
自分が悪いわけではないと思える日もあれば、悪いとしか思えない日もある。
手助けを受けていると感謝をする気持ちと責められているように感じてしまう気持ちが両方襲ってくる。
ごめんなさい、と思わずにいられなくなる。
でもわたしが悪いんじゃない、体が悪い、タイミングが悪いと腹立たしくてしょうがなくもなる。
自分は悪くなくても自分の体が悪いということは自分が悪いということをぐるぐると感じたりする。
外に出て人に迷惑をかけるなら家にいたい。
ひとりでいたい。
一人で出来ないことが沢山あることがもどかしい。
「なんかちょっと風邪っぽいかも」
「肩こりがひどいんだよね」
「冷え性だからさー」
とかそんな話をされると、なぜ病院にかかったり予防をしないのかと無性に腹がたつ。
薬を飲め、食事をしろ、仕事を休め、病院に行け!!
心がけずに悪化したものに同乗の気持ちなんて1ミリもわかない。自業自得。
そんなことばかり考えるのでわたしは優しくないし性格が悪いと定期的につぶやく。
正直いえば、そんなことばっかり言って繰り返してる人たちにわたしの気持ちなんてわからないでしょうね、と大声で言ってやりたくなる。
体は大事にしてほしい。
わたしは体のことで苦労をしているので、わかるから、いうことを聞いてほしい。
災害のように病気に襲われることは怖い。
押し付けがましくそう思ってしまうことが少なくない。
はい。
ここから話を本に戻します。
わたしはプライドが高いからそう思ってしまうのだと思う。
この本の作者であるこだまさんは誰も責めない。
自分ばかりを責めている。
ちんぽが入らないだけではなく、こんなことが立て続けに起こるなんて…と思うような出来事が彼女を次々と襲っていく。
人間関係だったり、病だったりがそれこそ災害のように。
もちろん彼女は大いに苦しむ。
読みながらつい、すごい形容しがたい表情になってしまうことがたくさんあった。
それでも人を、というか夫を責めない。
だってたぶん彼女より夫の方が罪深いよね…?よくよく考えるとそんな感じなんだけど、本人が夫のことをおおむね肯定してるからそんな感情がまったく文章にこもっていない。すごい。
わたしならめちゃくちゃに夫を責めてしまうと思う。
別れるという道がお互いに全くないし。
本文にもあったけど、人としての相性がこれ以上ないほど合う代わりに「入らない」という交換条件を課せられているかのよう。
それと「なんでそれが出来るのにあれは出来ないんだ???」と言うことがたくさん出てきた。
たとえるなら”どう頑張っても人参は食べられないのに「もうどうにでもなれ」と思ってゴキブリは食べられる”みたいなことが多々ある。
いや人参をどうにかして食べる方が楽でしょうよ!
ゴキブリを食べる精神力を人参に使おうよ!というような。
でもそういうのある。
わたしもかつて、電気代は払えないけどライブのノルマは払うみたいなことをいっぱいしてきました。
ぶっちゃけ今もしている。
電気代の方が大事だよね。
わかってるけどそうじゃないのよ。すみません。
事柄は違えどなんだか共感というか、わたしもあるある!と言いたくなっちゃうことが多かった。
こんなわたしの些細な体験と比べるにはスケールが違うけど。
本文で多々繰り返される言葉「わたしは夫のちんぽが入らないんです!」
大きな声で言ってしまいたくなる。
わかる。
わたしは病気だらけなんです!!
わたしも言いたくなる。
言い訳がしたいわけではなく、事実なので。
同情してほしいわけじゃなく、それだけなんです。
諦めてほしいわけではないけど、そこそこ折れてほしい。
もう出来ないことに対して抗いたいとかじゃないの。
受け入れてるの、こっちは。
大丈夫だとかきっと出来るだとか自分もそうだとか頑張れとか、そういうの疲れちゃうときがあるんですよ。すみません。
そしてこの本を読んで一番面白いと思ったのが、
きっとこれを読んでも全く面白くないと感じる人や、全く気持ちがわからないという人も多くいるだろうということ。
わたしもなにも共感ばかりをしていたわけではない。
作者のお母さんのくだりなんかは「なんだこのクソババア、うざすぎ!なんでこんなババアのことかばうの???意味わからん!!」とかめちゃめちゃに思った。
そういう、その人の現在を構成する過去や経験や価値観の違いのようなものを大いに感じる。
普通の人間が書いた文章。
教訓も押し付けもない、ものすごく面白い。
わたしは自分の歌をゲロみたいなもん、とたまに思うんだけどそれと近い気がした。
たまたま人の目につくところでゲロしたら、なにそれすごいじゃん!!って言われて「えっ?まじ?じゃあ…またします」ってなる、みたいな。
例えがひどいけど、なんかそんな感じ。
この本を読んで抱く感想はすごくいろんな方向の別々な感情があると思うので、色んな人に読んでもらって、それぞれがどう感じたのかをすごく聞いてみたい。
わたしは特に励まされたとか泣けたとか自分を肯定できたとかそういうんじゃないけど、単純にすごく好きだなと思いました。
興味が湧いたら読んでみてください。
ゆか